住宅改造の落とし穴
安楽玲子
4月から実施される介護保険では、手すりをつける、段差をなくすなどいわゆる 「バリアフリー住宅」への改造が20万円まで行えるようになります。自治体に よっては、介護保険とは別に住宅改造の助成を行うところもあり、いずれに しても介護保険をきっかけに、住み慣れた家で生活を続けるための住宅改造が 今まで以上に普及するものと思われます。
▽張り巡らす
ところが残念なことに、まだまだ一般の設計・施工業者に「バリアフリー住宅」の
正しい知識が浸透していないこともあり、せっかくの住宅改造が有効に機能していない
ケースが多く見られます。
その第一は「手すり」。車いすを使うほどではなく、つえ、あるいは何かにつか
まれば自分で移動できる状態の人が在宅生活を続けるためにと、家中に手すりを
張り巡らします。
でもちょっと待ってください。手すりが取り付けられるのは壁がある場所だけですから、
家中を手すりだらけにしても、自由に移動できるわけではありませんし、身体状態の
経緯によっては設置した手すりが使えなくなる場合もあります。また狭い廊下の
両側に手すりがあると、大きめの荷物を運ぶのも難しくなるなど、同居してい
る家族に邪魔になることもあります。
▽補助具の活用も
「手すり」が張り巡らされる理由に、手すりが歩行(移動)の補助として考えられて
いるからです。状況にもよりますが、こうした場合の多くは「つえや歩行器」の使用で、
「手すり」に替えることが出来ます。つえ、歩行器といった補助具なら、壁のない場所
でも家中移動できますし、介護保険の利用もできます。ですから、在宅での生活をしやすく
する方法として、今までなじみの薄かった「福祉用具」の知識を持つことも大切です。
もちろん使い方さえ間違わなければ手すりは、大変役にたちます。トイレでの立ち座り
を助けるL型手すり、玄関・出入り口の扉を開閉しやすくする縦型手すりなどは有効で、
階段手すりは下りの利き手側だけでもあると家族皆が安心です。
「バリアフリー住宅」への改造手始めともなる手すりは、何のために必要か、
その意味をよく考え、使う人の状態や場所に合うよう、形状、握り太さ、材質、色を検討
して設置したいものです。